第11章 鋼のこころ
一体なぜアルフォンスくんがそう叫んだのかはわからない。
けれど、力強く手を握り締め声を震わせる彼はとても辛そうに見える。
エドワードくんもまた……。
「……好きで……、こんな身体になったんじゃない……」
「あ……。悪かったよ」
居心地の悪い空気が流れる。
眉を下げるエドワードくんは、バツが悪そうに口を開く。
「……そうだよな。こうなったのもオレのせいだもんな……。だから一日でも早くアルを元に戻してやりたいよ」
それは揺るぎない彼の本心。
一緒に旅をするようになってからわかったこと。
エドワードくんはいつだってアルフォンスくんの身体を元に戻すことを第一に考えている。
絶対に元に戻すという気概を赤の他人の私でも感じているのだ。
ずっと一緒にいたアルフォンスくんが感じないはずがない。
そう思っていたのに。
「本当に元の身体に戻れるって保証は?」
だから、まさか彼の口からそんな言葉が飛び出るとは思いもしなかった。
「絶対に戻してやるからオレを信じろよ!」
「"信じろ"って!!この空っぽの身体で何を信じろって言うんだ……!!」
アルフォンスくんは叫んだ。
エドワードくんにぶつけるように。