第11章 鋼のこころ
病院に着くまでの間、ウィンリィさんは一人っ子だから本当は兄弟が欲しかったと言った。
エルリック兄弟を近くでずっと見ていた影響もあるのだろう。
仲良しな彼らが羨ましいと言った。
だから、エリシアちゃんに「お姉ちゃん」と言ってもらえた時はすごくうれしかったと語った。
「だから私のことお姉ちゃんみたいと言ったのですね」
「す、すみません……。舞い上がってました」
「謝らないでください。実は私も、妹ができたみたいで嬉しかったんです。兄はいましたが、弟や妹はいませんでしたから」
だから、私を慕ってくれるエリシアちゃんがかわいくて仕方がない。
そして手のかかるエルリック兄弟も。
「えへへ、嬉しい」
顔を赤らめ笑うウィンリィさん。
ああ、なんてかわいらしい女の子なんだろう。
腹の奥を渦巻く感情を私は必死に抑えた。
病院に着くと、私たちより後に家を出たはずのヒューズさんがすでに到着していて、「ゆっくりしすぎましたね」と笑って3人で病室へと向かった。
中から話声が聞こえる。
病室の扉を開けた時だった。
「ボクは好きでこんな身体になったんじゃない!!」
アルフォンスくんの叫びが病室に木霊した。