第11章 鋼のこころ
明日病院へ行ったら、彼らと話をしよう。
上層部の調査をしているアームストロング少佐にも連絡をして話をしなければ。
大佐にも報告しなければいけないが、そうなると入院していることも伝えなければいけない。
「………やっぱり、退院してからでもいいかな」
短期間で怪我をたくさんしているから確実に怒られるし、また口うるさく小言を言われる。
それはちょっと勘弁してほしい。
残り少なくなったホットミルクを飲みほし、私はソファに横になった。
眠るなかなかできないけど、目を瞑るだけでも脳の休息になる。
目を覚ましてまた瞑って。
目を覚ましてまた瞑って。
どのくらい繰り返したかわからないけど、気が付くと外は明るくなり始めていた。
その後、みんな起床し朝食を食べ穏やかな時間を過ごした。
「お世話になりました」
「本当にいいの?中央にいる間ずっと泊まっててもいいのよ?」
頭を下げるウィンリィさんにグレイシアさんがそう言う。
甘えるわけにはいかないと断るウィンリィさんだったが、エリシアちゃんが彼女の腕をぎゅっと掴んで離さない。
「すっかりなついちゃって……」
「こうして見ると姉妹みたいだな」
何気ないヒューズさんの一言にウィンリィさんは顔をきょとんとさせる。
そして純粋で無垢な少女の言葉にも。
「おねえちゃん、行ってらっしゃい。早く帰ってきてね」
「今日の宿も決まりね」
「へへ、お姉ちゃんと妹ができたみたいでうれしい」
「え?」
「はは、仲良し3姉妹か」
まさか、そんな事を言われるとは思っていなかった。
じんわりと心臓の内側が温かくなってくすぐったい。
「気を付けて行ってらっしゃい」
「あとで俺も病院に行くから、エドとアルにもよろしく言っといてくれ」
「わかりました」
ヒューズさんの家を後にし、私とウィンリィさんは病院へと向かった。