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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第11章 鋼のこころ






「今日も呼び出されてみればエドは大ケガで入院してるし、アルは何か悩んでるみたいだし。……エドの機械鎧……半月位前に新しいのをつけてやったのに今日見たら、もう傷だらけでした。おまけに身体も傷だらけで……いったいどんな生活してるんだろう」

私もヒューズさんも静かに彼女の言葉を聞いていた。
ウィンリィさんは言った。
エルリック兄弟は何かがあったとしてもそれを絶対に言わないと。
元の身体に戻る旅に出る時も誰にも相談せず兄弟2人だけで決めたと。

「本当のきょうだいなら、旅に出る事も今日のケガの事もきちんと話してくれたのかな」

目を伏せて寂しそうな表情するウィンリィさん。
そんな彼女にヒューズさんは口を開いた。

「相談しなかったんじゃなくて相談する必要が無かったんだろ」

思ってもいなかった言葉に彼女は顔をあげる。

「ウィンリィちゃんなら言わなくてもわかってくれるって思ったんだよ、あいつらは」
「………言葉で示してくれなきゃわからない事もあります」
「しょーがねえよなぁ。男ってのは言葉よりも行動で示す生き物だから。苦しい事はなるべくなら自分以外の人に背負わせたくない、心配もかけたくない。だから言わない。それでも、あの兄弟が弱音を吐いたら―――そん時はきっちり受け止めてやる。それでいいんじゃないか?」

静かに言葉を零すヒューズさんに私は何故かイシュヴァール殲滅戦を思い出していた。
残虐な行為、悲惨な光景を、彼はグレイシアさんに話していない。
ヒューズさんの強さや決意を知っているからだろうか、その言葉は私の心に深く刺さった。




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