第11章 鋼のこころ
いろんな事件に巻き込まれ、なかなかプレゼントを買いに行く時間がなかった。
急いで買って帰らないとパーティーに遅れてしまう。
「すみません、これとこれ、あとこれもください」
かわいいものが並ぶお店を見つけ、手あたり次第レジへと運ぶ。
ピンク色のリボンに白いフリルのワンピース、ウサギさんやリスさんが描かれたおもちゃのオルゴール、とにかくいろんな物を買い漁った。
両手が塞がるほどの荷物をぶら下げて、私は急いでエリシアちゃんの待つ家へと帰る。
「遅くなりました」
「大丈夫。まだ始まってないわ」
グレイシアさんが出迎えてくれて、私はリビングへと向かう。
そこにはたくさんの人とおいしそうな料理がずらりと並んでいた。
いい匂いが鼻の奥をくすぐり、腹の虫が小さく鳴いた。
エリシアちゃんの前に大きなケーキが用意され、3本のろうそくが吹き消されクラッカーや花吹雪が舞い落ちる。
たくさんの笑い声が家中に響き渡って、とても心地がいい。
「お姉ちゃん!!」
1人、窓際で静かに飲み物を飲んでいるとエリシアちゃんが駆け寄ってきた。
白いフリルのワンピースを身に纏い、ピンク色のフォーマルシューズを履き、ピンク色のリボンで髪を結んだエリシアちゃんに、私は口元を緩めた。
「とてもかわいいですよ」
腕を伸ばす彼女に私も腕を伸ばした。
小さなお姫様を抱き上げると、エリシアちゃんは「きゃーっ」と楽しそうに笑った。