第11章 鋼のこころ
「やっとうっとーしい護衛から解放されるよ!」
「あ!ひどいな!」
「私達がいなかったらどうなってたと思ってるのよ」
護衛が外れるということでウィンリィさんがここにいると言う事を忘れていたのだろう。
ぽろっと零れた単語を聞き逃す訳もなくウィンリィさんはエドワードくんに詰め寄った。
「護衛って……。あんたどんな危ない目にあってるのよ!」「う!!いやまぁなんだ!気にするな!たいした事じゃねーよ!」
「…………………そうね。どうせあんたら兄弟は訊いたって言わないもんね」
何も言われない寂しさもあるんだろう。
ウィンリィさんは少し拗ねたような表情でそう言った。
その後、仕事を終えた彼女は今日泊まる場所を探すと言い帰ろうとした時、ヒューズさんが家に泊まったらいいじゃないかと提案しあっという間にウィンリィさんはヒューズさんの家に泊まる事なった。
「も早く帰ってこいよ!!」
「はい」
2人の姿を見送ると不思議そうな顔をしているエドワードくんが「今日なんかあんの?」と聞いてきた。
「今日は、ヒューズさんの娘さんの3歳の誕生日なんです」
「じゃあこんなところで油売ってないで早く帰らなきゃだめですよ!!プレゼントは買ったんですか⁉」
ぐいぐいっと少尉と軍曹に背中を押され無理やり病室を追い出される。
本当はエドワードくんと話したいことがあったんだけど、閉められた扉の向こうからは絶対に開けてやるもんかという強い意志を感じる。
私は小さくため息を吐いて「また明日来ます」とだけ伝えると「楽しんでくださいね!!」と見送られた。