第11章 鋼のこころ
「ようエド!病室に女連れ込んで色ボケてるって?」
陽気に入ってきたのはヒューズさんだった。
何をどうなってそうなったのか一瞬理解できなかったが、病室の外でロス少尉がおもしろおかしく笑っているのを見て、全部彼女の仕業なんだとわかった。
エドワードくんはというと、ベッドから転げ落ちてまた傷口を開いていた。
「ただの機械鎧整備師だって!!」
「そうか整備師をたらしこんだか。ん?もいるじゃねえか。まさかエドおまえ、のこと……」
「なわけねえだろ!!」
「エドワードくん落ち着いてください。傷口が開いてまた入院が伸びますよ。ヒューズさんも揶揄うのは大佐だけにしてください」
大佐ならいいんだ、と誰かが呟いたのが聞こえた気がしたけど、私は無視をしてウィンリィさんに向き直りヒューズさんを紹介する。
「仕事抜け出して来ていいのかよ」
エドワードくんの言葉にヒューズさんは午後から非番だと嬉しそうに笑った。
「へー!軍法会議所は最近多忙極めてて休み取れないって言ってなかったっけ?」
「心配御無用!!シェスカに残業置いて来た!」
「あんた鬼か」
ご愁傷様です、シェスカさん。
心の中で彼女に合掌をした。
ヒューズさんがここに来たのはエドワードくんの様子を見に来たついでに、スカーの件も伝えに来たようだった。
もうじき警戒が解除されそうで護衛も外れるとのことだった。