第11章 鋼のこころ
「べ、べつにウィンリィのせいじゃねーよ!だいたい壊れたのはオレが無茶な使い方したからで!おまえの整備はいつも通り完璧だったしな!それに腕が壊れたから余計なケガしなくて済んだってのもあるしよ!気にすんなよ!なっ!!」
エドワードくんなりにウィンリィさんを励まそうと頑張っている。
なんだか微笑ましい光景にだなと思った時「そうね!あたしのせいじゃないわね!」と先ほどまでの落ち込みが嘘のように急に元気になるウィンリィさんに私の口元は自然と緩んだ。
「うむ!腕もケガもさっさと治して早く元気なエドワード・エルリックに戻ってもらわねば!」
少佐が言わないでください、と出そうになった言葉をぐっと飲み込んだ。
「そのためにはしっかりと栄養と休養を取る事だと言っているのですが……」
「さん?」
「いつも残すんですよね、牛乳」
私の視線の先には一口も飲まれていない牛乳瓶が映る。
牛乳は他の食品に比べカルシウムの吸収率が高く効率よくカルシウムを摂取できる飲み物。
成長期である彼にはカルシウムをたくさん含んでいる牛乳を飲んで健康に成長してほしいのだが、頑なに飲もうとしない。
まさか嫌いだったなんて。
まぁ、他の食品で補えはするけど……。
頭の片隅でそんなことを考えていると、エドワードくんとウィンリィさんの喧嘩がはじまった。