第11章 鋼のこころ
暫くすれば中央駅へと着き、西口でウィンリィさんが来るのをひたすら待つ。
休日だろうと平日だろうと中央駅は人で溢れかえっている。
大丈夫かな、人の波に飲まれていたりしないだろうか。
心配する私をよそに、遠くから「アームストロング少佐!#NAM1#さん!」と名前を呼ぶ声がした。
「ウィンリィさん、お久し振りです」
「リゼンブールではお世話になりましたな」
「いえいえ。エルリックのバカ兄弟がお世話になりました」
3人で少しばかりの世間話をして、車を停めてある場所へと移動する。
その間、ウィンリィさんはエドワードくんが迎えに来ないことに文句を言っていた。
「仕方ありますまい。今は動けない状態ですからな」
「それなんですけど"動けない"ってどういう事ですか。あいつ何も言わないんですもの」
「いやまぁ、なんと言いましょうか……………。ちと入院してましてな」
本当はもう少しで退院だったんですけどね。
という言葉はぐっと飲み込んだ。
「入院!?」
しばしの沈黙のあとウィンリィさんは神妙な顔をして頬に手を当てて、はぁと大きなため息を吐いた。
「そう……。あいつとうとう犯罪を起こして少年院に……」
「その院ではありません」
「日頃の行いの所為、と言ったら怒られそうですね」
ウィンリィさんに事情を簡単に説明すれば、やはり彼女は憂しげな表情で顔を曇らせた。
少しでも彼女の不安を払拭してあげたく「大した怪我ではありませんよ。本人も至って元気です」と励ました。
と同時に後悔した。
エドワードくんは今、包帯まみれであることを懸念していた。
でも元気なことに変わりないから大丈夫かな。
そう思い、私達は車に乗り込み病院へと向かった。