第11章 鋼のこころ
それから数日、エドワードくんの傷口が塞がりつつあり後は機械鎧を整備するだけという時に、怪我をしたと聞きつけた少佐が病室に来るなり力いっぱいエドワードくんを抱きしめた。
完全に塞がりきっていない傷口は開き、少佐の力強い抱擁で新たに出来上がった怪我により、エドワードくんの入院は長引いた。
そして今日はというと、ウィンリィさんが中央に来る日。
ウィンリィさん、今のエドワードくん見て腰を抜かしたりしないかな。
全身包帯で巻かれてミイラ状態の彼を。
「では、ウィンリィさんを迎えに行ってきます」
「よろしく」
「アルフォンスくん、彼が脱走しないように見張っていてください」
「わかりました」
「この状態でどうやって逃げるんだよ」
ぷんすかと怒るエドワードくんと静かに床に座っているアルフォンスくんに小さく手を振って私は中央駅へと向かった。
アームストロング少佐も同行するため、かなり目立つからウィンリィさんも迷子にならずに済むだろう。
中央駅に向かっている最中、少佐が思い出したように口を開いた。
「大佐殿には今回の怪我のことを話したのか?」
「…………………いいえ。絶対怒られると思って、報告はしてないです」
そう。
私はマスタング大佐に報告しなければいけないことを報告していない。
特にエドワードくんが入院したことと私が怪我をしたことは絶対に言わなければいけないのに、怒られるのが嫌で放棄した。
「心配しているのではないか。近況報告はしたほうが身のためだぞ」
「ごもっともです。……エドワードくんが退院したら事後報告ということで、連絡します」
「その時は我輩も手助けいたそう」
それはぜひお願いしたい。
少佐がいてくれたらそこまで叱られることはない気がする……!!
私は少佐の手をぎゅっと握って「お願いします!!」と頭を下げた。