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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第11章 鋼のこころ






「あれほどアームストロング少佐が勝手な行動をするなと言ったのにそれをあなた達は!!今回の件はあなた達に危険だと判断したから宿で大人しくしていろと言ったのに!!少佐の好意を無視した上に下手したら命を落とすところだったのよ!?」
「アールシャナ中尉も中尉です!!確かに中尉は強いですよ、オレらなんかより兄弟を護れる力はあります。でも、だからこそ彼らのストッパーになるべきだったと思います!!護衛というのは敵意ある人間からただ護ればいいってわけじゃないんです!!アームストロング少佐のように気に掛けることも護衛なんです!!」

私たちはなにも言えなかった。
彼等の言葉は尤もだったから。
私は兄弟を傷つける者たちから兄弟を護ってやらなきゃって思っていた。
目的のために突っ走って周りが見えなくなる彼らを護るのが私の役目だとばかり。

「まず自分はまだ子供なんだって事を認識しなさい。中尉だって我々からしたらまだ子供なんです。なんでもかんでも自分達だけでやろうとしないで周りを頼りなさい……。……もっと大人を信用してくれてもいいじゃない」

その言葉は、幼いころに親を亡くした私にはとても重たく強く伸し掛かった。
エドワードくんが私と同じ気持ちかどうかは知らないけど、私は頼り方や信用の仕方を今まで知らなかった、知ろうとしなかった。
頼れる大人は沢山いたけど、信用できる人は少なかった。
だからこそ、ロス少尉の言葉は私の心を痛めつけたけど、同時に嬉しくもあった。
心配をさせてしまった、そのことに申し訳なさはもちろある。
でも、それがどうしようもなく嬉しい。
信用してもいいんだよと、許されたような気がして。



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