第11章 鋼のこころ
どうやら私達は半日程眠っていたらしい。
命に関わる大怪我ではないとはいえ、数日間は検査入院をすることになった。
エドワードくんに関しては脇腹の怪我が塞がるまで入院となった。
この病院は軍の病院ではなく、ロス少尉の知人の病院のようだった。
少尉曰く、色々訊かれた時にまずいだろうと反出したとのこと。
確かに怪我の理由を聞かれた時、「元第五研究所にいました」なんて言ったら、懲罰どころか文字通り消されてしまうかもしれない、軍が絡んでいるのだから。
「お気遣いありがとうございます」
「いえ……ご無事でなによりです」
少尉は眉を下げて笑った。
数日間入院と養生ということにエドワードくんは大きなため息を吐いた。
できる事なら今すぐにでも行動したいのだろう、「入院している場合じゃない」とぼやく彼に少尉と軍曹は顔を見合わせた。
「鋼の錬金術師殿!先に無礼を詫びておきます!」
そう言うと彼らは背筋を正し、エドワードくんの頬を強く平手打ちした。
ばしっと鈍い音が響き、彼の頬はじんわりと赤くなっていく。
相当痛かっただろうなと思っていると、眉を吊り上げた少尉は勝手な行動をした私たちの行いを叱咤した。