第11章 鋼のこころ
――・アールシャナside――
目を覚ますと私は病院のベッドの上にいた。
身体を起こすとずきりとみぞおちに痛みが走り顔を歪める。
そうだ、私はあの男に殴られて気絶したんだ……。
怪我は見た目より酷くはない。
斬られた脹脛も縫うほどのものではなかった。
ただ、血を流したせいか身体が重い。
熱はなさそうだけど、しばらくは派手な動きはできなさそうだ。
自分の不甲斐なさに嫌気が差す。
彼らを護らなければいけないのに、危険な目に遭わせてしまうのは私が弱い証拠だ。
「」
「エド、ワードくん……。起きていたんですね」
隣のベッドからエドワードくんの声がして驚いてしまった。
彼も先ほど目を覚ましたらしい。
神妙な顔をして私を見るエドワードくんに、私は頭を下げた。
「あなた方を守るのが私の役目。なのに、ここ最近はその役目を果たせずに怪我ばかり負わせてしまって、本当に申し訳ありません」
「……頭上げろよ。別にオレは初めっから護られたいなんて思ってないし、それにオレだってあんたを……」
「あ!エドワードさん、アールシャナ中尉!」
タイミングよくブロッシュ軍曹とロス少尉が病室に入って来た。
何か言いかけたエドワードくんは消化不良とでもいいたげにぶすっとふくれっ面をして拗ねている。