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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第10章 【外伝】軍部祭り





休憩を終え、気分よく残り少ない書類を片付けようとした時だった。
執務室に電話の鳴る音が響いた。

私が出ようとするとリザさんが「いいわよ」と言い、受話器を取った。
二言、三言、電話の向こうの相手と会話をしているが、不穏な空気が流れていることを察知してしまう。
ゆっくりと受話器を置いたリザさんは軽く息を吐き、私の顔をじっと見つめる。

「……大佐からですか?」
「あら、聞こえてたの?」
「なんとなくです。……あの、嫌な予感しかしないんですけど気のせいでしょうか」
「気のせいじゃないわ。ご飯はお預けね」

話しを聞くとどうやらちょうど今エドワードくんと大佐の勝負は終わったらしい。
大佐が勝ったようだが、国家錬金術師2人が勝負をしたのだ。
何事もなかったなんてことはなく、練兵場は大いに荒れまくり、大佐の炎に巻き込まれた軍人もいるらしく、後片付けを手伝ってほしいとのことらしい。

「……………………………ボーナス、出るんでしょうか」

本当、軍人の嫌なところだな。
上司の命令に逆らう事はできない。
リザさんは「ごめんなさいね」と謝ったが彼女が謝ることではない。
司令部にはリザさんが残り、私は中央へと応援に行くために渋々と支度をした。

中央の練兵場に着き、その光景を目の当たりにする。
一体どれ程暴れたと言うのか。
地面はところどころ抉れ、今にも足元が崩れそうな地割れがいくつもある。
これを修復しなければいけないと思うと骨が折れる。



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