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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第10章 【外伝】軍部祭り





私と一緒に書類整理をしていたリザさんが「気になりますか」と大佐に尋ねたが、大佐は「ばかばかしい」と一蹴し加え「子供相手にムキになるとでも?」と言った。
つまり子供相手でなければムキになるのか。
でも、大佐のことだから子供相手だろうと挑発されたら簡単に乗ってしまいそう。

「だいたい、対戦しようにも鋼のは各地をフラフラしててつかまらんだろう。私の雄姿を見せられないのは残念だが、まぁ仕方ないというものだ」

はっはっはっと笑う大佐。
なんか言い訳がましく聞こえるのは気のせいだろうか。

「エドワード君はちょうど今査定で中央にいるらしいです」

そういうリザさんの手には受話器が握られている。
いつの間に連絡を取っていたんだろう、気付かなかった。

「いや、我々人間兵器が本気でぶつかったら周囲に多大な被害がだな……」
「中央のヒューズ中佐が上にかけあって練兵場を空けてくれるそうです」
「……そもそもそんな事を大総統閣下が許す訳なかろう!!」

ドンッ!!と机を叩く大佐の額には汗が滲んでいるように見える。
話がこんなにトントン拍子で進むことってあるんだろうか。
展開が全てにおいて用意周到過ぎるやしないか。
きっと、渦中の人物を差し置いて計画だけが進行していたんだろう。
その証拠に、大総統から直接大佐に電話がかかってきて、「面白そうじゃないか、良い許す。戦いたまえ」と爽やかな笑い声と共に命令が下った。
一度命令が下れば従わざるを得ない。
こういうところは軍人の嫌なところだなとつくづく思う。



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