第9章 第五研究所
「エド、ワードくん……」
「あらー……、やる気満々だよこのおチビさん。やだなぁ。ケンカは嫌いなんだよね、ケガしたら痛いしさぁ」
「チビチビとうるせーんだよ!てめェが売ったケンカだろうが!!買ってやるからありがたく……!!」
エドワードくんが手を合わせ錬成しようとした瞬間だった。
ゴキン、と大きな音が聞こえたと同時に彼の機械鎧の右腕が力なく、ぶらんと垂れ下がった。
誰がどう見たって故障だった。
まさかこのタイミングで故障するとは思わなかったのか、エドワードくんは顔を真っ青にし絶叫するも、このチャンスを逃すまいと男は膝蹴りでエドワードくんのみぞおちを蹴り上げた。
「エドワードくん!!」
「も大人しくしててよ」
「うっ!!」
エドワードくんと同様、私もみぞおちを殴られ地面に倒れた。
スライサーたちと戦った疲労と出血、そして今の打撃で私もエドワードくんも立ち上がるための気力が残っていない。
例え残っていたとしても彼らに勝てる勝算は見当たらない。
それに、彼らは本気で私たちを殺そうとしているわけではなさそうに見えた。
「いいこと。あなたたちは"生かされてる"って事を忘れるんじゃないわよ」
「またね、」
生かされている、ってどういうことだろう。
なんで私のことを知っているんだろう。
聞きたいことはたくさんあったが、私は何も言えずそのまま意識を手放した。