第9章 第五研究所
「そう怒らないでよ。ご褒美だよ、これは」
「………ご褒美?」
「そう!ここまでたどり着いたご褒美!!………でも、お仕置きもしなくちゃいけないんだよねぇ。まずいもの見られちゃったからさ」
そう言うと男は私の髪の毛を思い切り掴みあげた。
急にひっぱりあげられてくぐもった声を上げるが、男はおかまいなしにギリギリと吊り上げる。
重力に耐えきれずぶちぶちと頭皮から髪の毛が抜けるのが分かった。
きっとうなじの皮膚も引っ張られているせいで、赤く色づいているだろう。
痛みで歪む顔を楽しむように男はぐっと顔を近づけ、私の耳元で囁いた。
「やっぱりあんたら2人、殺しとこうかな?」
その時だった。
後ろから何かが風をきった。
それがエドワードくんの蹴りだとわかったのは、男の手から解放された時だった。
頭皮を抑えながら、エドワードくんをみると肩で息をしながら険しい表情で男を睨みつけていた。
男はというと、私たちから距離をとり深いため息を吐いていた。