第9章 第五研究所
「困った子たちね。どうやってここの事を知ったのかしら」
女性はそう言うと、なんの躊躇いもなく頭部を二つに切断した。
血印が破壊された頭部は、先ほどまで聞こえていたうめき声すら消えてしまい、静かに地面に落ちる。
兄を殺されたことで弟の方は喚くが「新しい身体をくれ」と彼らに懇願した。
口ぶりからするとスライサーたちは彼らのことを知っていると言うことになる。
魂の定着をした人物なのか、賢者の石を作らせていたもしくは作っていた人物なのか。
それはわからないけど重要な手掛かりが目の前にある。
「あなた方に聞きたいことが……」
そう問いかけた時だった。
中性的な顔立ちをした男性は地面に落ちている刀を拾い上げると、そのまま弟の身体に刻まれた血印に向けて突き刺した。
「ぐだぐだとやかましいんだよ、このボケが!おめーら貴重な人柱を殺しちまうところだったんだぞ?わかってんのか?おまけにこっちの事バラすところだったしよ。計画に差し支えたらどう責任とるんだコラ!」
既に弟の息はないというのに、男は眉間に皺を寄せ、何度も何度も容赦なく刀を突きさす。
「エンヴィー、もう死んでる」
女性に止められ漸くそのことに気が付いたようで、男は動かない鉄の塊を見つめ口元を歪めた。
「あらー、根性ないなぁ。本っ当、弱っちくて嫌になっちゃうね」
まるで無邪気におもちゃを壊して喜んでいるようなそんな様子の彼に、私もエドワードくんも言葉を一つ零すことができなかった。