第9章 第五研究所
サーベル……というよりは刀自体は昔に何度か使ったことがある。
しかし、ここ最近は拳銃ばかり扱っていたから、腕が鈍っていないか不安だ。
何度か柄を握り私は感触を確かめる。
「いけるか?」
「問題ありません」
少しだけ腰を落とし、相手との距離を測る。
向こうは私よりも更に姿勢を低くし、右足を大きく後ろに引き刀を構えている。
東の国では確かこの構えを居合とか言っていたか。
「どれ、手並み拝見……」
その言葉と同時に男は私達の距離を縮めてきた。
エドワードくんは男の動きについていけていない。
ギリギリのところで攻撃を躱すも続けざまに振り下ろされた刀に対応できずに、右肩に攻撃を受けた。
機械鎧だったから助かったが、これが生身の身体であれば斬り落とされていた事だろう。
「肩まで鋼の義手か。命拾いしたな。だが!我が愛刀は鋼さえも貫く!!」
「……冗談じゃねぇ!!義手また壊したらウィンリィにぶっ殺されるじゃねーか!!」
「そうならないために私がいるんです!!!」
二人の間に割り込み、男の刀を受け止めた。
重たい一撃に掌がびりびりと痺れる。
もう一度しっかり握り直し、私は鎧男との間合いを詰め兜に狙いを定め振り下ろすが間一髪のところで避けられてしまった。
サーベルは男の胸部に突き刺さった。
引き抜くと同時に男の胴体を蹴り上げた時だった。
「!!……おいおい、この空洞音……」
「やはり、そうでしたか」
引き抜かれたサーベルには赤い液体など付着していない。
もし鎧の中に人がいるとしたら、腹に穴が空き血が付いているはずなのに。
それに、いま蹴り上げた時に部屋に響いた空洞音。
これが指し示す事実は一つ。