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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第9章 第五研究所






体感で10分くらいだろうか。
建物内を歩き回って、私達はその部屋へと辿り着いた。
部屋というには何もない殺風景な広間のような場所。
その真ん中にぽつんと立つ円形の台。
床には五角形の陣とそれを囲むに円の陣が描かれている。
見たことのない錬成陣だけど、そんなことは今はどうでもいい。

床に微かに残る赤黒いシミ。
私は膝をついて指で擦るが、それはひび割れてパラパラと地面に落ちる。
血が乾いているということはそれほどまでの時間が経っているということだ。

「なぁ、これってひょっとしたら賢者の石を錬成するための……」
「そうだと思います。建物にこびりついてる生臭さや血痕の渇きから推測すると最後に錬成されたのは……………誰ですか?」

部屋の奥から感じる気配に気づいた私はそちらへと視線を向ける。
微かに聞こえるこの音は、まるで鎧が動いているような……。

「気配を消していたつもりだったのだがな」
「でしたら次からは"音"にも気を付けたほうがよろしいかと」
「音、か……。随分と耳がいいようだな」

暗闇から姿を現したのは、アルフォンスくんと同じ鎧姿の人物だった。
まさかとは思うけど、中身が空っぽだなんて言わないでしょうね。

「どこの小僧どもか知らんが、石について深く知っているようだな。私はここの主語を任されている者。ナンバー48ととりあえず名乗っておこうか。ここに入り込んだ部外者はすべて排除するよう命じられている」

右手に握っている刀を握り直し、彼は私達に向き直る。
鎧となると銃は使えない。
私の唯一の武器だというのに。
機械鎧の右手を刃物に錬成するエドワードくんの邪魔だけはしないようにサポートを……いや、だったら加勢した方が絶対にいい。
この建物は確か鉄筋コンクリートだったはず。
鉄が含まれているなら、武器は錬成できる。
手を合わせ地面に手をつくと青い錬成反応とともにサーベルが錬成された。



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