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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第9章 第五研究所







「気になることがあります」
「気になること?」
「はい。変だと思いませんか?第一分館の不審火」
「……いや、別に変だとは。何かおかしい事でもあったんですか?」

アルの疑問には静かに答えた。
マルコーさんから教えてもらった資料の隠し場所へ向かう途中に不審火で第一分館は全焼。
手掛かりを失うも、シェスカのおかげで資料が手に入り解読もできたが、その内容は軍上層部が絡んでいる可能性が出てきた。

「第一分館が焼かれたのもタイミングがよすぎますし、賢者の石の材料を考えると、明らかに私達の行動を監視されているようにしか思えません」
「……考えすぎじゃないか?」

確かにの言う事も分かるけど、監視って……。
旅ばかりしているオレたちを、なんのために、どうやって監視するというんだ。

「君達は確かめたいことがあるように私も確かめたいことがあります。なので、行くのなら止めません。それに私の仕事はあなた方の護衛。引き留めるように、とは命令されていません」
「さん、それ屁理屈っていうんだよ」
「……屁理屈なしのほうがよかったですか?なら全力で止めますが」
「あーもう!!めんどくせえな、テメーは!!」
「自負してます」

ってこんなめんどうな奴だったか?
大佐みてえなこというし。
噛みつきそうになるオレをアルが宥め、なんとか落ち着きを取り戻し、計画を立てる。
と言っても、この部屋から抜け出し方法だが……。

「単純に窓からだろうな」
「3階ですけど、飛び降りて大丈夫ですか?下手したら死にますよ」
「そのまま降りるわけないだろ……。カーテンでも使うかって思ったけど長さがな……」
「錬成すると錬成反応でバレちゃうしね」
「あ、いい物がありました」

部屋を物色していたが手にしていたものを見て、オレとアルは「おー!」と声をあげた。
なんでそんなものが部屋にあるんだという疑問はあったが、片付けをし忘れていただけかもしれない。
だが、今回ばかりはラッキーだ。

オレはロープの端をベッドの脚に結びつけた。



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