第1章 三人の錬金術師
「容赦ないのな」
そう言いながら、彼は錬成した槍でもう1匹の合成獣に向きあっていた。
しかし、錬成したやりは合成獣の鋭い爪で切り裂かれてしまった。
その時、彼の左足にも触れたようで表情を曇らせる。
「……なんちって!」
エドワードくんは切り裂かれた左足を抑えているが、次の瞬間不敵に笑い、切り裂かれたはずの左足で合成獣を蹴り飛ばしていた。
「あいにくと特別製でね」
破れたズボンから覗く、鋭い光は生身の人間の足ではない。
「……ッ!!?どうした!!爪が立たぬなら嚙み殺せ!!」
コーネロの言葉に合成獣はエドワードくんに突進していく。
彼は焦ることなく右腕を差し出すように構えている。
合成獣の牙が深々と彼の右腕に食い込む……ことはなかった。
いつまでたっても噛み砕けない腕に、合成獣も焦りの色を隠せないようだった。
「どうしたネコ野郎。しっかり味わえよ」
エドワードくんの瞳の鋭さが増し、100㎏はゆうに超えているだろう合成獣を高々と蹴り上げた。
急所である顎を蹴られたことで、合成獣は泡を吹いてその場に倒れた。
「ロゼ、よく見ておけ。これが人体錬成を……神様とやらの領域を侵した咎人の姿だ!!」
合成獣によって引き裂かれた赤いコートの下から覗く痛々しい手術の痕と鉛色の腕。
「………鋼の義肢"機械鎧"……ああ、そうか……。"鋼の錬金術師"!!」
「降りて来いよド三流。格の違いってやつを見せてやる!!」