第1章 三人の錬金術師
「おい!!」
「さん!!」
兄弟の怒った声を無視して、私はただあちら側へ歩いていくロゼさんを見つめる。
今まで縋っていたものをそう簡単に手放すことはできない。
なら、とことん縋ればいい。
それだけのことだ。
ロゼさんが自分の元へと来るのを見届けるコーネロは、その口元を歪ませた。
「さて。では、我が教団の将来をおびやかす異教徒はすみやかに粛清するとしよう」
コーネロが壁に備え付けられているレバーを下げると、扉の向こう側から2匹の何かが現れた。
ライオンと何かの動物を合わせたそれは合成獣と呼ばれるものの類は、賢者の石を使って生み出したのだろう。
腹を空かせている2匹の合成獣は、涎を零し捕食者の目で私達を見ている。
これは、拳銃で戦ったところで倒すことは困難だろう。
私は両手を合わせ、地面に手を付いた。
青白い錬成反応とともに私の手に握られる刀に驚きを隠せ居ないのはコーネロだけじゃない。
「おい、……おまえ……」
「まさか、さんも……?」
「その話はあとで。今は目の前の合成獣に集中してください」
襲いかかってくる合成獣の両目を刀の先端で突きさし、視界を奪った後、動けないように前足の腱を切りつけた。
地面に倒れ、動けないでいる合成獣に「うわぁ……」と声を漏らしたのはエドワードくんだった。