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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第9章 第五研究所






口を開こうとした時だった。

「ちょっ……お待ちください!!」
「二人とも休んでいるところですので……」

大きい足音と共に聞こえるロス少尉とブロッシュ軍曹の声。
何やら慌てている様子に、オレとアルは部屋の扉に目を向けた。
すると、扉を激しく叩く音とアームストロング少佐の声が聞こえ、オレとアルは顔を顰めた。
暑苦しいおっさんが来た、面倒なことになりそうだしシカトして居留守をきめこもうとしたが、がきょっと、扉ごと破壊され、作戦は失敗に終わった。

アームストロング少佐は、賢者の石の材料のことやその研究が軍の機関で行われていたことに大量の涙を零して「見過ごす訳にはいかん!!」と叫んだ。
あの場に少佐はいなかったのに、なんで知っているのか。
その答えは簡単だった。
ロス少尉とブロッシュ軍曹以外に話す人間はいない。

「があれだけお願いしていたのによぉ……」
「ごごごごめんなさい……」
「あんな暑苦しい人に詰められたら喋らざるをえなくて……」

似たようなことがつい最近もあった気がするが、なんで軍の人間は簡単に人の秘密をベラベラと話すんだ。
知ってしまったんなら仕方ないけどよ。



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