第8章 賢者の石
一日、また一日と時間だけが過ぎて、私達の疲労も増えていく一方。
家に帰っても、疲れてそのまま寝てしむ日々でせっかくセントラルにいるというのに、グレイシアさんやエリシアちゃんとはここ数日まともに会話をしていなければ顔もみていない。
エリシアちゃんが悲しんでいる姿が目に浮かぶというのに、忙しさにつけこんで何もしてやれない自分に嫌気が差す。
ヒューズさんのほうがもっと忙しいはずなのに、家族を大事にしているんだからすごい。
私は、私のことだけでいっぱいいっぱいだ。
この日も私はへとへとになりながら帰宅し、お風呂も後回しにベッドに倒れ込んだ。
寂しそうなエリシアちゃんが見えたけど、彼女は我儘一つ零すことなく「おやすみなさい」とだけ声を掛けた。
都合のいい捉え方をするならば聞き分けのいい良い子、なんだろうけど。
そうさせているのは私なんだ。
「ごめんね」
謝るくらいなら少しくらい遊んでやればいいのに。
だけど、私は都合のいい考え方で彼女のことをないがしろにし、ただ眠気が襲ってくるのを待った。