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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第8章 賢者の石






ふと、目を開けるとリビングからエリシアちゃんの笑う声が聞こえて来た。
カーテンの隙間からは眩しいほどの日の光が零れ、いつの間にか私は寝ていた事を知った。
時計を見ると時刻は7時を指していて、寝ていたのは30分ぐらいか。

欠伸を噛み殺し、私は静かにベットを降りる。

「お姉ちゃん、おはよう!!」
「おはよう、」
「おはようございます、グレイシアさん。エリシアちゃん」

私が姿を現すと、エリシアちゃんは無邪気で明るい笑顔を向けた。
口の周りをベトベトに汚す彼女の姿はとても愛らしい。

「ご飯は?」
「パンとミルクを……」
「ホットのやつね」
「はい」

ふふ、と微笑むグレイシアさんは私専用のカップに鍋で温めた牛乳を注いだ。
ゆっくりとした朝の時間を過ごした後、私は仕事へと向かった。
ヒューズさんはすでに仕事に行ったらしい。
いつの間に仕事に行ったんだろう、気が付かなかった。

「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「いってらさい!!」

家を後にし中央図書館へと行くと、ちょうど兄弟と出くわした。

「おはようございます、さん」
「おはようございます」
「昨日は急にどっかいっちまったけど、どこ行ってたんだよ」
「軍法会議所に行ってました。なにか手掛かりとなる資料が無いかと思いまして」
「で、成果はあったのかよ」
「いいえ、有りませんでした」
「そっか……」
「地道に解読するほかないってことか」

アルフォンスくんの言葉にエドワードくんはがっくりと肩を落とした。
それから数日、解読初日から数えると一週間は経つが進展はあれから何一つとしてない。
難解すぎる暗号にエルリック兄弟の知識とひらめきと根気と集中力が当然のごとく切れてしまった。


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