第8章 賢者の石
「そう、ですか……」
「中佐に用でもあったのか?」
「はい。軍法会議の資料を見せてもらえないかと思いまして」
「許可などなくても見れるはずだが……?」
「いや、その、えと……」
言葉を濁す私にアームストロング少佐は「ドクター・マルコーのことか?」と小さな声で耳打ちをする。
静かに頷けば、眉を寄せ少しの間悩んだ末「少々待っておれ」とその場を後にした。
暫く待っていると、「~~~!!」と大声を上げて猛ダッシュしてくるヒューズさんの姿が。
あれ、忙しいはずでは。
持ち場離れていいのだろうか。
そんな疑問を聞く前に私は思い切り抱きしめられた。
「久しぶりだな、!!怪我はもう平気なのか?」
「ヒュ、ヒューズさん……お久し振りです。怪我はもう平気です」
このまま抱き潰されるのではないか。
ううううう、と息苦しさを必死に伝えると「悪い悪い」と声をあげて笑って私の頭を優しく撫でた。