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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第8章 賢者の石






「書いた本人しかわからないって……。そんなのどうやって解読するんですか」
「知識とひらめきとあとはひたすら根気の作業だな」
「うわ……。気が遠くなりそうですよ」

顔を歪めて大きく息を吐くブロッシュ軍曹。
解読を読み解くのも辛い作業ではあるが、それに付き合う彼らも大変だろう。
いつ襲ってくるか分からないスカーを気にしながら、解読し終わるまで護衛をしなければいけないのだから。
そんなブロッシュ軍曹にアルフォンスくんは「まだ解読しやすいと思いますよ」と言った。
彼曰く、錬金術と言うのは台所から発生したものだと言う人もいる位だ、とのこと。

「兄さんの研究手帳なんて旅行記風に書いてあるからボクが読んでもさっぱりで」
「そうかぁ?」
「ちなみに、マスタング大佐の研究手帳は全て女性の名前で暗号化してあります」
「うげぇ……」
「一度読んだことがあるのですが、なかなかおもしろかったのを覚えています」
「……の名前も書いてあんのか?」
「はい、書いてありました。名前を見た時は少し嬉しかったですね」
「ふーん……」
「今度、エドワードくんの研究手帳も読ませてくれませんか。どんな風に書いてあるのか興味があります」
「別にいいけど……そんなにおもしろいもんでもないと思うぜ」

エドワードくんは呆れたように息を吐いた。
何か気に障るようなことを言っただろうか。
少しだけ拗ねているような表情をする彼だったが、何が原因かもわかりかねたため、私は言及する事なく解読の作業に取り掛かった。



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