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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第8章 賢者の石






シェスカさんの家を出ようとした時、エドワードくんが何かを思い出したように足を止め、手帳を取り出すとさらさらとペンを走らせる。
そして、紙を破きロス少尉に銀時計と一緒にそれを渡した。

「これオレの登録コードと署名と身分証明の銀時計!大総統府の国家錬金術師機関に行って、オレの年間研究費からそこに書いてある金額引き出してシェスカに渡してあげて」
「シェスカさん、本当にありがとうございました。後日また改めてお礼をします」

そう言って、私達はシェスカさんの家を後にした。
車に乗り込んでいる途中、シェスカさんとロス少尉の悲鳴が聞こえたが、一体いくら書き込んだんだろう。
聞いてみたいが、生々しい数字が出て来そうでやめた。

中央図書館に着くと、早速私達は解読を始める。

「"錬金術師よ、大衆のためにあれ"……って言葉があるように
錬金術師は術がもたらす成果を一般の人々に分け隔てなく与える事をモットーにしている」

そのモットーに反してるので国家錬金術師は"軍の狗"と呼ばれているわけだが、それも理由あってのこと。
一般人にそのノウハウを与えてしまうと技術を盗み、悪用されてしまう可能性がある。
それを防ぐために、国家錬金術師は研究書を暗号化する必要がある。
中身は書いた本人しか判らない様々な寓意や比喩表現を用いて書きつらねられた錬金術書になっている。
つまり、マルコーさんの研究書もただの料理研究書ではなく、立派な錬金術師としての研究手帳だ。



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