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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第8章 賢者の石





シェスカさんの家に着いたのはいいが、扉をノックしても返事がない。
もしかしたら留守かもしれないとブロッシュ軍曹が言ったが、家の明かりは点いている。

「失礼します」

そっと扉を開けて中を覗くと、その場にいる全員が驚いてしまった。
シェスカさんの家は本の山で覆われていた、それはもう文字通りに。

「シェスカさーん!!」

名を呼んでも返事はない。
そもそも人が住んでいるような環境には一切見えないのだが。
そう思った時だった。
微かに、本当に微かに人の声が聞こえたような気がした。

「皆さん、静かに」

私の言葉にみんな口を閉じて耳を澄ませる。
すると、やはり人の声が……。

「まさか……」

そのまさかだった。
彼女は本の下敷きになっていてそこから助けを求めていた。
このままでは窒息死か餓死してしまう。
私達は慌てて崩れた本を掘り起こし、潰されているであろう家主の姿を探し救出することに成功した。



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