第8章 賢者の石
シェスカ、という方の住所が書かれた紙を受け取り私は急で兄弟の元へと向かう。
手掛かりを失い意気消沈している兄弟に私は「手掛かりになるかもしれない人がいます、行きましょう!」と無理やり車に詰め込んだ。
急なことに状況を理解していない彼らに私は、先ほどのことを話した。
先ほどよりも顔色はよくなったが不安はぬぐいきれないようだ。
「でも、もしこれでなかったってなったら……」
「それを確かめるんです。分館にあったということが聞ければ、地道ではありますが手掛かりを探ることはできるはずです」
「…………あのさ、なんでここまでしてくれんの?」
純粋な疑問がエドワードくんの口から飛んできた。
私はただの護衛でここまでする必要なないのではないか、エドワードくんはそう言いたいのだろう。
「……元の身体に戻って欲しい、ただそれだけです」
「それだけの理由で?」
「人の原動力は人それぞれです。そうでしょう?」
言えないわけではないけど、あまりにも恥ずかしいからできれば言いたくない。
私らしくないし、きっと笑われてしまうから。
腑に落ちないという顔をするエドワードくんだったが、これ以上言及しても望む答えは聞けないと判断したのだろう、彼は大きく息を吐くと窓の外へと視線を移した。