第7章 家族の待つ家
あの後、確かウィンリィさんが大きな欠伸を零したところでみんなそれぞれの部屋に戻ってベッドの中に入った。
眠ったエドワードくんはアルフォンスくんが運んで行った。
口の端から涎を垂らしているエドワードくんにアルフォンスくんがまたプリプリと怒っていて、仲が本当にいいなとぼんやり眺めていた。
思い出すな。
思い出しちゃいけない。
思い出したらまた、胸がきゅうっとなって苦しくなる。
恋焦がれれば恋焦がれるほど、自分には縁のないものなんだと思ってしまうから。
望むな。
妬むな。
憧れるな。
恨むな。
羨ましがるな。
憎むな。
底のない暗い闇の中に放り込まれそうになって、溺れないように自分を見失わないように、ベッドのシーツをぎゅっと握り締めた。
そうでもしないと、私は醜い人間になってしまいそうで怖かった。
いや……元々醜い人間だっただろ。
「何を今更……」
嘲笑するように笑みを零し、私はゆっくりと目を瞑った。