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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第7章 家族の待つ家






夕食の片づけをし食器を洗い終わり、リビングへ行くと、ソファではエドワードくんがお腹を出してぐっすりと寝ていた。

「あーあ。また、おなか出して寝てるよ。しょうがないな」

ぷんすかと怒るアルフォンスくんはまるでエドワードくんの保護者だ。
エドワードくんの部屋から毛布を持ってきて、そっとかけてあげる。
風邪でも引いてしまったら大変だから。

「手間のかかる兄を持つと苦労するよ」
「これじゃあどっちが兄貴だかわかんないわね」
「ふふっ……」
「さん?どうかしたんですか?」
「いえ、以前私も同じようなこと思ったので……」

ユースウェル炭鉱に行った時、今みたいに怒っているアルフォンスくんを見てウィンリィさんと同じことを思った。
そんなに遠い過去のことではないのに、懐かしく感じる。
彼らは元気だろうか。

「おまえ達いくつになった?」
「ボクが14で兄さんが15」
「あはは。あたしと同い年でこんなちっこいくせに"人間兵器"だなんて笑っちゃうよね。無防備に寝ちゃってさ」

そう。
彼は国家錬金術師で軍の狗。
命令があれば人の命を殺さなければいけない。
多分今は実感なんてないだろう。
人を殺すと言う事が、戦争というものが一体どういうものかを。
知らなくていい、わからなくていい。
平穏で静かな平和な世の中で幸せに生きて欲しい。
彼ら子供たちには。

「"おなか出して寝て"って言えばユースウェル炭鉱に行った時の事を思い出しちゃって」

どうやらアルフォンスくんも思い出したらしい。
くすくすと小さく笑っている。



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