• テキストサイズ

【鋼の錬金術師】紅の幻影

第7章 家族の待つ家






「鎧の破片ってこれで全部?」
「うん。イーストシティの憲兵さん達が丁寧に拾ってくれた」
「すぐ直るのか?」
「うん。ちょっとコツがいるけどね」

少佐の言葉にエドワードくんは、アルフォンスくんの頭を「よいしょ」と取り上げた。
鎧の中を覗き込むと背中の内側に印がある。
この印がアルフォンスくんの魂と鎧との仲立ちになっているらしい。
この印を崩さないように手足を直さなくてはいけないと言う。

「血文字のようだな」
「血文字だよ。オレの血」

さらっととんでもないことを言ったな。
でも、なるほど。
命を捨てる覚悟で魂の錬成に挑んだエドワードくん。
兄の右腕を犠牲に魂を繋ぎとめたアルフォンスくん。
彼ら兄弟の絆の強さの理由が分かったような気がする。

エドワードくんは手を合わせてアルフォンスくんの身体を錬成する。
バラバラだった破片は青白い錬成反応とともに繋がり合い、元通りになった。

「なんだか、懐かしい姿を見てる気分です」
「さっきも聞いたな、そのセリフ……」
「不備はなさそうだよ、兄さん」
「んじゃ、早速……」

そういうやいなや、彼らは組み手をし始めた。
どうやら手足の作動確認をするためにやっているらしい。
あとはここ最近動いていなかったため、カンを取り戻すためでもあるらしい。
それを聞いた少佐は目を光らせた。

「ならば我輩も協力しよう!!」

少佐の暑苦しさから逃げる兄弟だが、簡単に捕まってしまい気付けば私もなぜか組み手に参加していた。

「女だからって容赦しねえぞ」
「女だからと舐めないでください」

投げて投げられてを繰り返しながら、私達は砂と土に塗れる。
どったんばったんとどれだけ私達は組み手をしていただろう。
気づいたら、服もボロボロだし体も小さな擦り傷や切り傷でいっぱいだった。



/ 282ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp