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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第7章 家族の待つ家






昨日、外で星を眺めていたところまでは覚えている。
しかしその後の記憶がなく、気付いたらベッドの上だった。
だけど、なるほど。
エドワードくんが運んでくれたのか。
心配させたうえに迷惑もかけてしまった。

「申し訳ありません。いろいろとご迷惑をおかけしてしまい……」
「………別に。謝る必要なんてねえよ」
「はい。ありがとうございます」
「、あのさ……」
「なんでしょうか」
「……いや、やっぱなんでもない」

何か言いかけてエドワードくんは顔を反らした。
耳が少しだけ赤くなっているような気がするが、一体なぜ……?

その時、エドワード君を呼ぶ声が聞こえて来た。
どうやら機械鎧が出来上がったらしい。

「鎧の破片はどこに置いてますか?」
「僕が入ってた箱の中に入ってます」
「持ってきますね」
「ありがとうございます」

木の箱は玄関に置いてあった。
中を確認すると、鎧の破片は布に包まれて保管されていた。
それを持ってアルフォンスくんの所へ戻っていった。

布の上に破片を広げて待っていると、機械鎧を装着したエドワードくんが「アルー!!」と叫びながら走ってきた。

「なんだか、懐かしい姿を見てる気分です」
「数日スペアだっただけだろ。そこまで懐かしく感じるか?」
「大人になると感慨深い気持ちになりやすんですよ」
「そういうもん?」
「そういうもんです」

にこりと笑うとエドワードくんは「ふーん」といった表情をしていた。
今はまだわからないかもしれないけど、あと数年もすればわかるんじゃないかな。
それこそ、君たちが元の身体を取り戻した時にでも。
機械鎧の手足だったこと、鎧の姿だったこと、旅をしていたこと。
それらが全て深く心に響き出来事になっている事だろう。



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