第7章 家族の待つ家
朝ごはんを食べ終わった後、私は庭先へと出た。
兄弟が木陰で本を読んでいるのを見つけ、少し足早に彼らの元へと駆け付けた。
「エドワードくん、アルフォンスくん」
「さん。どうかしましたか?」
「お礼を、言いたくて……」
首を傾げるアルフォンスくん。
気を遣って起こさないでくれたこと、そして何も言わないでいてくれたこと。
それらに対してお礼を言うと、「気にしないでください」とアルフォンスくんは笑った。
エドワードくんは一度もこちらを見ないで、本ばかりを読んでいる。
もしかしたら集中していて私の声なんて聞こえていないのかもしれない。
これ以上邪魔をしてはいけないと思い、立ち去ろうとした時だった。
「怖い夢、は……見なかったのかよ」
「見ていたような気はしますが……よく覚えていないんです」
「そうか……」
エドワードくんは少しだけ口角をあげて笑った。
……ん、というか私は彼に眠れない理由を話しただろうか。
記憶を辿るが話した覚えがない。
私はばっとアルフォンスくんを見ると、悪戯がバレた子供のように慌てふためき、最後には「ごめんなさい」と頭を下げた。
「別に怒ったりしません。いずれはバレると思っていましたから。私も黙っていて申し訳ありませんでした。君たちに余計な心配をかけたくなかったんです」
「………昨日みたいに倒れて眠られる方が心配すんだけど。オレが見つけてなきゃ外でずっと寝ていたことに……」
「もしかして、エドワードくんがベッドまで運んでくれたんですか」