第7章 家族の待つ家
ロックベル家に戻り、私は早速ピナコさんと一緒に夕食づくりに取り掛かる。
今日のメインは舌触りが滑らかなホワイトクリームシチューだ。
他にもガーリックトーストや野菜ディップを作り、テーブルに並べていく。
おいしそうな香りが漂い、食欲中枢を刺激する。
ホテルのレストランのような高級料理ではないが、家庭料理というものは見ているだけで心をほっとさせる不思議な力を持っている。
「うまそー!!」
香りにつられてダイニングへとやってくるエドワードくんは子供のようにはしゃいでいる。
「シチューがお好きだとお聞きしましたので、作ってみました」
「いいなぁ。ボクもさんの料理食べてみたい」
「身体が戻ったら、記念にアルフォンスくんのお好きなもの作りますよ」
「やったー!!」
アルフォンスくんは両手をあげて喜んでくれた。
昨日の夜、一人は怖いと怯えていた姿はどこにもない。
本当ならもっと甘えたり我儘を言ったりしたい年頃のハズなのに。
だからこそ、今のように時折子供らしい一面を見ると安心感と護ってあげなくてはいけないという使命感を感じた。
夕食後、私は昨日と同様に外にでて星を眺めていた。
ここに来てから私は空ばかりを見ている気がする。
人は辛い時や悲しい時に空を見上げると聞いたことがある。
だとしたら、私は一体なにが辛いんだろう、悲しいんだろう。
答えの出ない自問自答ばかりして、そんな自分に嫌気が差してため息が零れる。