第7章 家族の待つ家
「あんた料理はできるかい?」
「人並には」
「じゃあ、ハッシュポテトと目玉焼きを作ってくれるかい」
「はい」
沸かしたお湯の中にジャガイモを放り込み、柔らかくなったころを見計らい取り出し、皮をむいて潰し調味料を加えて、形を整える。
2人で朝食を作っているからか、思ったよりも早く出来上がっていく。
あとは目玉焼きとベーコンを焼くだけというところで、匂いに釣られて目覚めたエドワードくんがキッチンへやってきた。
「の手料理……」
くああっとまだ眠たそうに大きな欠伸をするエドワードくんはそれだけ言って、どこかへ消えた。
私の手料理がなんだというのか。
言葉の真意が分からず、怪訝な顔をしているとピナコさんが声を出して笑った。
「な、なんですか……」
「なんでもないよ」
うそだ。
絶対なんでもあるやつの笑い方だった。
でも、聞けない。
聞く勇気が私にはない。
ぐるぐるする気持ちのまま、私はひたすら卵を割って目玉焼きを作り続けた。