第7章 家族の待つ家
その時、窓の外から明るい光が入り込んできた。
2人で反射的に窓を見ると、辺りは既に明るく朝を迎えたことを知らせた。
「朝になりましたね」
「ボク、夜がこんなに短く感じたのはじめて」
「私もです」
いや、本当はずっと前にもこんなふうに一夜を過ごしたことがあった。
怖い夢を見るのが怖くて仕方が無かった時。
仕事で忙しいはずのヒューズさんがずっと私の側にいて、大きく優しい掌でずっと頭や背中を撫でてくれた。
それだけで安心して、私の話を黙って聞いてくれて、その日の夜はあっという間に過ぎて行った。
こんなにも会いたいと思うのは、心が寂しいと嘆いているからだろうか。
ヒューズさんもまた私と同じ気持ちで、私の帰りを待ってくれているのだろうか。
そうだとしたら嬉しいな。
「おや、起きてたのかい」
「ばっちゃん、おはよう」
「おはようございます」
「ちょうどいい。朝ごはんの準備をするから手伝っておくれ」
人の気配を感じたからなのか、リビングに姿を見せるピナコさんはそう言ってキッチンへと足をは運んでいった、
昨日は結局なにも手伝うことができなかったから、今日は手伝いをしなくては。
私は立ち上がって、彼女の後を追った。