第7章 家族の待つ家
「私の手、握ってもいいんですよ」
「か、からかわないでください!!ボクはそんなに子供じゃないです!」
「少佐に子供扱いされて喜んでたのに?」
「それとこれとは……」
ごにょごにょと口ごもるアルフォンスくん。
大人げないことをしたな。
あまりにアルフォンスくんの反応がかわいいから意地悪をしすぎてしまった。
謝罪をしようとしたら、アルフォンスくんが何かを思い出したように声をあげた。
「ずっと言おうと思ってたんですけど」
「なんでしょうか」
「敬語、使わなくていいですよ。ボクも兄さんもさんより年下なんだから」
思って見なかった発言に反応するのが遅れた。
「これはクセみたいなもので、長年染み付いたものですからなかなか抜けないんですよね……」
「小さい頃から?」
「軍に所属してからですね。周りは年上の方ばかりでしたので、敬語が自然と身に着きました」
「……そう思うと兄さんって」
深いため息を吐くアルフォンスくん。
直属の上司であるマスタング大佐にすら敬語を使わないエドワードくんは、生意気な子供だと他の軍人から評価されているのは確かだ。
「でも、急に敬語で話し始めたら気色悪いので、エドワードくんには生意気なままでいて欲しいですね」
「それ聞いたら多分兄さん怒ると思いますよ」
「では、こ私とアルフォンスくんの2人だけの秘密です」
くすくすと笑うと、アルフォンスくんもまた笑った。
エドワードくんはあのままだからこそ周りの人たちにかわいがられているんだろう。
大佐だって、いじわるなことや厳しいことを言うけどそれが大佐の優しさでエドワードくんをかわいがっているんだ。
そんなことを言ったらエドワードくんは苦虫を嚙み潰したような顔をするんだろうな。