第1章 三人の錬金術師
私達は再び教会へとやってきた。
軍の人間である私は、自分の名前を伏せた。
国家錬金術師であるエドワードくんの名を聞いて、軍が関与していると判断し、話をはぐらかしたり逃げるようであれば、コーネロが何かを企んでいる可能性は十分に高い。
敢えて私は自分が軍の人間であることを伏せ、彼等がどのような行動に出るかを窺うことにした。
しかし意外にもコーネロは私達と会うことをすんなりと受け入れてくれたようだ。
「教主様は忙しい身でなかなか時間がとれないのですが、あなたがたは運がいい」
「わるいね。なるべく長話しないようにするからさ」
部屋に通されると、扉がゆっくりと閉まった。
ロゼさんの師兄にあたる髭を生やした男が1人、部屋の中には護衛らしき若い男が2人。
……変な空気が身体に纏っているのは気のせいじゃないだろう。
そう思った瞬間。
髭を生やした男が拳銃をアルフォンスくんに向けていた。
そしてなんの躊躇いもなく引き鉄を引き、アルフォンスくんの頭は地面に転がり、エドワードくんと私は護衛の2人に捕まってしまった。
油断、した。
奥歯を噛みしめながら、私は目の前の男を睨みつける。
「ロゼ、この者達は教主様を陥れようとする異教徒だ、悪なのだよ」
「そんな!だからと言ってこんな事を教主様がお許しになるはず……」
「教主様がお許しになられたのだ!教主様の御言葉は我らが神の御言葉……。これが神の意思だ!!」
成程。
すんなりと私たちを迎え入れたのは、私達の存在を消すことが目的だったからか。