第7章 家族の待つ家
その日の夜。
騒がしくも温かな食卓は、昔の話で盛り上がり、兄弟の知らない一面を知り自然と頬が緩み、楽しい夕飯の時間はあっという間に過ぎて行った。
夕飯を食べ終わった後、ピナコさんとウィンリィさんは作業へと戻り、エドワードくんは寝室へと向かい、アルフォンスくんはリビングで本を読み、アームストロング少佐は用意された部屋へと行った。
私はというと、なかなか眠ることができずに静かに家の外へと出ていた。
空を見上げると、深い闇に浮かぶ微かな光の粒たちが無数に散らばってキラキラと輝いていた。
街路灯がないこの街は、家の明かりだけがぽつりぽつりと暗闇い浮かんでいるだけで辺りは真っ暗だ。
人々の行き交う足音も声も車の音も何も聞こえない。
聞こえるのは自分の息遣いだけで、静寂そのものが広がっている。
昼間とは違う雰囲気が漂っているが、居心地の良さは昼間となにも変わらない。
ぼんやりと、ただぼんやりと暗闇を見つめるだけの時間を過ごしていると、後ろから声を掛けられた。
振り向くとそこには目を丸くしているウィンリィさんの姿が。
「ウィンリィさん……。どうかされましたか?」
「さんこそ。ずっと外にいるのが見えたから……」
どうやら彼女は私がこの場から長時間動かないことを気にして降りて来たらしい。
心配させてしまったことに謝罪をすると「気にしないでください」と満面の笑みを咲かせる。
彼女の笑顔は黒に覆われた夜でも輝くようだ。