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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第7章 家族の待つ家






機械鎧が出来上がるまでの間、何もすることがないためこののどかで静かな時間を過ごすことになる。
ゆっくりと流れる時間に、日頃の仕事の疲れや先日のタッカーさんのことやスカーとの戦いがまるで遠い昔のことのように感じる。

窓から庭の方を見ると、エルリック兄弟とロックベル家の飼い犬のデンが仲良く日向ぼっこをしている。
心地のいい柔らかい風がエドワードくんの身体を包み、金色の綺麗な髪の毛がさらさらと揺れ、アルフォンスくんの肩では2羽の小鳥が羽を休め寄り添いあっている。

穏やかな空気がそこにはあって、きっとこれを平和と呼ぶのだろう。

胸のあたりが急にぎゅうっと締め付けれら、泣きだしてしまいたい衝動に駆られた。
居心地が悪い。
そう感じながらも、この空気に触れていたいとこの場所にいたいと思うのは、羨ましいとそう思ってしまっているからだろう。

「望んだところで、意味がないというのに」

私みたいな人間にはあまりにも眩しくてもったいないもの。
頭ではわかっているのに、虚しくなるだけだと、寂しくなるだけだと知っているのに。
欲しいと願ってしまう。


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