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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第7章 家族の待つ家






会話に参加せずに彼らのやりとりを静観していると、少女と目が合った。
先ほどまでの怒った顔とは変わり、ニコニコと笑って右手を差し出した。

「はじめまして、あたしウィンリィ。よろしく!」
「です。・アールシャナです。エルリック兄弟の護衛を任せられています」

人を助けるための穢れなき手を握ってもいいものかと一瞬躊躇してしまったが、厚意を無駄にするわけにいかない。
その手を優しく握り返した。
彼女もまた私のことは覚えていないようだった。
それもそうだろう。
大佐やリザさんと違い、私はその場に居合わせただけで彼らに干渉などしていないのだから。
ピナコさんが覚えていたのは驚きだけど。

「ていうか、護衛ってなによ。あんたらどんだけ危ない生活してんの」
「これにはワケがありまして。私からご説明させていただきます」

私がエルリック兄弟の護衛になったこと。
とある人物によってエルリック兄弟を危険な目に遭わせてしまったこと。
ここへ来る道中でエルリック兄弟が探している"賢者の石"の資料が国立中央図書館にあると知ったこと。
一刻も早くその場所へ彼らが行きたいと思っていること。
できるだけ要点だけをまとめて話した。
旅の途中で起きた大きな事柄や心に負った大きい傷などは彼女たちには話さなかった。
兄弟たちがそれを望んでいないように思ったから。



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