第7章 家族の待つ家
ロックベル家にお邪魔すると、鼻の奥を少しばかり掠める油の匂い。
さっきまで仕事をしていたのだろう、作業台の上にはいくつかの部品が転がっている。
はじめてみる職人の作業場にいつの間にか夢中になっていた。
なにがなんの部品かなんて何ひとつわからないけど、これらが組み合わさることによって手足となって、それが誰かのためのものになる。
「すごいなぁ……」
尊敬する。
まだ子供だというのに、人を助けるための仕事をしているなんて。
工業油で汚れた手がとても美しく見える。
本当に、私とは何もかも真逆に位置する人達だ。
少し離れた場所でエドワードくんと少女がなにやら言い合いをしている。
というよりも一方的に怒られていると言った方が正しいか。
どうやら彼の右腕を作ったのは少女らしい。
そりゃ丹精込めて作ったものをバラバラに壊したら怒りたくもなるし、アルフォンスくんの身体もバラバラになってしまっているんだから心配もするだろう。