第7章 家族の待つ家
と、その時。
この終わりなき口喧嘩戦争に終止符を打ったのは一本の工具だった。
「こらー!!エド!!」
怒号と共に飛んでくる工具はエドワードくんの頭に直撃する。
飛んできた方向へ視線を向けると2階のテラスに金色の長い髪をなびかせた一人の少女の姿が見えた。
彼女は「おかえり」と兄弟に向日葵のような明るい笑顔を向ける。
あの子だ。
間違いない。
私が憧れてやまない女の子。
とても、とても綺麗になって驚いた。
あの子は純粋に無垢に真っすぐに成長している。
よかった。
余計な心配はしていなかったが、実際に目にしてわかることもある。
本当に余計な心配だったと胸を撫でおろし、同時に自分の醜さに嫌気が差した。
会いたかったとはいえ、ここに来るべきではなかったのではないかとも思う。
私が欲しかったものがきっとここにある。
それに触れてしまえば、虚しく惨めな気持ちになるに違いない。
私と彼女は正反対だからこそ、浮き彫りになる私の暗く黒い過去。
どうすることもできないとわかっていても憧れずにはいられない、妬まずにはいられない。
それが更に自分を汚くするとわかっていても。
「?どうしたんだよ、ぼーっとして。気分でも悪いのか」
「いいえ。大丈夫です」
「そうか?中に入ろうぜ」
「……はい」
悪いのは気分じゃない。