第6章 希望の道
「あの子は……あの子達は賢い……。あの資料を見ればいずれ真実に……おまえ達がやろうとしている事に気づくだろうよ」
「そんな事は私がさせるものですか!」
「"させるものですか"?ははははは!無理だな!なぜなら!!おまえはここで死ぬのだからなぁ!!」
優位に立った彼女は気づかなかっただろう。
流れる血で壁に錬成陣を描いていたことを。
錬成反応とともに錬成されたものが彼女の身体を貫いた。
致命傷にも繋がる出血量、生きていたとしても暫くは動けないはず。
そう思っていたのに。
「ひどいわぁ。一回死んじゃったじゃない」
彼女は眉一つかえずに淡々とそう言って口角をあげた。
「すっかり忘れてたわ。あなたも"人柱"に値する錬金術師だという事をね」
つらぬかれた場所は錬成反応を起こし、傷一つ残ることなく綺麗に治っていた。
理解が追い付かない。
一体目の前で何が起きているというのか。
殺しても死なないなんて、そんなの……!!
「先生!お花持って来たよ!」
その時、緊迫した状況に不釣り合いな無邪気な声が私の耳に飛び込んだ。
気づいた時にはもう遅かった。
少女―――キリは人質として捕まってしまった。