第6章 希望の道
――ドクター・マルコーside――
駅で彼らに一枚の手紙を渡した。
それには、私の研究資料の隠し場所を書いてある。
きっとあの子達ならたどり着けるはずだ。
賢者の石の作り方とその材料に―――。
それにしてもちゃんがアールシャナ夫妻の娘だとは……。
あの子が真実に辿り着いてしまったら……。
心臓がずきりと痛む。
私がしたことは許されることではない。
それでも彼らに資料を見せようと思ったのは、少しでも自分の罪を軽くしたかったからなのか、罵って欲しかったからか。
いや、それは許されたいと思う自分勝手な甘えだ。
私はただ知ってほしかった。
あの内乱で起きた残酷な出来事を。
軍が何をしたのかを。
若い世代に、彼らに、知ってほしい。
それだけのことだ。
「ふぅ……」
家に着き、深く長いため息を吐いた。
真実を知った彼らにきっと恨まれるだろうなと考えていると、私一人しかいないはずの家の中から女性の声が響いた。
「久しぶりね、マルコー」
その声には聞き覚えがあった。
「鋼の坊やとあの子を見張ってたら思わぬ収穫だわ」
不敵な笑みを浮かべるラストが私の目の前にいる。
私を連れ戻しにきたのか……。