第6章 希望の道
「……私の研究資料が隠してある場所だ。真実を知っても後悔しないと言うならこれを見なさい」
手に握っていた一枚の手紙をエドワードくんに渡すと、彼のことをまっすぐ見つめる。
眉間に皺を寄せて言いづらそうにしながらもマルコーさんは静かに口を開いた。
「そして君ならば真実の奥の更なる真実に――――――いや、これは余計だ」
何かを言いかけて首を横に振った。
真実の奥の更なる真実……?
その言葉が嫌に引っかかったが、それ以上考えても答えなどわかるわけもなく、頭の片隅へと消えた。
「ちゃん」
「はい」
「………すまなかった」
「え?」
そう言って、マルコーさんは背中を向けて歩き出す。
どういう、意味なんだ。
なんでマルコーさんは謝ったんだろう。
両親が行方不明になったのは彼のせいではないのに。
なんだろう、このモヤモヤする気持ちは。
何か引っかかりが残るのはなんでだろう。
嫌な予感、というやつなのかなこれが。
「!!次に行く場所が決まったぞ!!」
エドワードくんの声に我に返り話を聞くと、どうやらマルコーさんは国立中央図書館に資料を隠したらしい。
「なるほど、マルコーさんも考えましたね」
「"木を隠すには森"か……。あそこの蔵書量は半端ではないからな」
「……骨が折れそうな作業になりそうですね」
先のことを考えて私は乾いた笑みを浮かべた。
「それでも……ここに石の手掛かりがある……!!」
「兄さん、道は続いてる!」
「―――ああ!」
気の遠くなるようなことであろうと、希望がすこしでもあるならそれを追いかけるしかない。
彼らが求める願いはそう言った小さな積み重ねで漸く叶うものなんだろう。