第6章 希望の道
駅で次の汽車が来るのを待ってる時、アームストロング少佐がエドワードくんに「本当にいいのか?」と尋ねた。
「資料をは見れなかったが、石ならば力ずくで取り上げる事もできたろうに」
「あ~~~~~~!のどから手が出る位欲しかったよマジで!!。でも、マルコーさんの家に行く途中で会った人達の事を思い出したらさ……この町の人達の支えを奪ってまで元の身体に戻っても、後味悪いだけだなーって」
「優しいですね」
「フツーだろ。それにまた別の方法探せばいいだけだし。な、アル」
「うん」
元の身体に戻るための旅をしているのであれば、他の人のことなんて考えないで、あらゆる手を講じて手に入れればのに。
そうすればすぐに旅を終えて、帰るべき場所で静かに生活できるのに。
目の前の可能性を捨てて、結果戻る術を失ったら彼らは一体どうするつもりなんだろう。
彼等の優しさは、あまりにも眩しくて、時折かわいそうに見えて同時に私にないものを持っていることが羨ましく思う。
「さん、どうかしたんですか?」
「え?」
「顔色が、よくないように見えたから……」
首を傾げるアルフォンスくんに私は小さく微笑む。
「大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」
どこまでもお人好しな人たちだ。
「それより、と少佐はよかったのかよ。マルコーさんのことを中央に報告しなくてさ」
「我輩が今日会ったのはマウロというただの町医者だ」
しれっと少佐はそう言った。
エドワードくんは嬉しそうに白い歯を見せて笑って。
なんて穏やかな時間なんだろう。
高く青い空を見上げ、私はぽつりと零す。
「道は長いですね」
「だな」
「君!」
終わりの見えない長い旅に思いふけっていると、マルコーさんが息を切らしてプラットホームへと姿を現した。